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2025年8月7日

Trip 04 クラシックホテルと名作映画に学ぶストライプの使い方

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世界”柄”紀行 trip04となる今回は、「クラシックホテルと名作映画で学ぶストライプの使い方」の内容でお届けいたします。今回は、ボスニア・ヘルツェゴビナにあるホテルを取り上げております。「どのような国なのか、あまりよく知らない」と感じる人も少くないかと思いますが、今回のお話を通じてボスニア・ヘルツェゴビナにおける空間作りを少しでも知って頂ければ幸いです。 どうぞお楽しみください!

Trip 04
クラシックホテルと
名作映画に学ぶストライプの使い方

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボにある「ホテル・ヨーロッパ」のダイニング

1882年に開業して以来、150年近くに渡り、サラエボの激動の歴史を見守り続け、世界中の著名人を迎え入れてきたクラシックホテル「ホテル・ヨーロッパ」。ロビーに足を踏み入れた瞬間から、心地よいラウンジミュージックが流れ、オリエンタルとモダンが融合したインテリアが、時間と場所を超えた旅へといざないます。ダイニングに向かうと、品格のある木製のドアと、自己主張の強い太めのストライプのウォールペーパーが目に入ります。襟を正して、特別な時間を楽しみます。中へ入ると、やわらかな照明と、丸みを帯びたテーブルと椅子細めのストライプのウォールペーパーが緊張をほぐしてくれるようです。

クラシックとストライプの相性がいいのは間違いのないところですが、色や縞の太さ、それぞれの組み合わせによって、ポップにもファッショナブルにもなることを名作映画から学びたいと思います。1964年に公開されたフランス映画『シェルブールの雨傘』です。

物語の舞台は、アルジェリア戦争が続く1957年11月、フランスの港町・シェルブール。雨傘屋の娘・ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と、自動車整備工のギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は深く愛し合っていました。しかし、ギイに招集令状が届いたことで2人は離れ離れになってしまうのです……。

カトリーヌ・ドヌーヴの愛らしさに思わず目を奪われてしまいますが、同様に注目していただきたいのが、インテリアです。ウォールペーパーによって、印象が大きく左右されることがわかります。

上がジュヌヴィエーヴの自宅のダイニングで、下がジュヌヴィエーヴの母が営む雨傘屋。両方とも、ピンクとグリーンのストライプですが、自宅はどちらかといえばフェミニンで、店はスタイリッシュ。色の明度や彩度、縞の太さや本数を変えることで、ガラッと印象が変わります

『シェルブールの雨傘』については、ウォールペーパーはもちろん、花や調度品、色彩の合わせ方など、インテリアのヒントがつまっていますので、ご覧になることをおすすめします。ストライプには、針で描いたように細い「ピン・ストライプ」、2色の縞が同じ太さで等間隔に配される「ブロック・ストライプ」、細い縞が2本ずつまとまって並ぶ「ダブル・ストライプ」、複数の色で構成される「マルチ・ストライプ」、斜めの縞模様の「レジメンタル・ストライプ」など非常に多くの種類があり、フォーマルからカジュアルまで、さまざまな表情を見せてくれます。LIMELIGHTでも、充実のラインナップをご用意しておりますので、まずは部屋の一角からでもトライされてみてはいかがでしょう

萩原健太郎
文筆家。日本文藝家協会会員。デザイン、インテリア、北欧、手仕事などのジャンルの執筆、講演を中心に活動。著書に、『暮らしの民藝』『北欧の日用品』(エクスナレッジ)、『ストーリーのある50の名作椅子案内』(スペースシャワーネットワーク)、『北欧とコーヒー』(青幻舎)などがある。

LIMELIGHTの
STRIPEシリーズ

現在、LIMELIGHTのSTRIPEシリーズは、9種類もの豊富な柄のバリエーションに加え、それぞれが落ち着いた表情から、エネルギッシュなもの、温かみを感じる表現など、個性的でエンターテインメント性溢れる色展開が揃っています。